念願の槍ヶ岳登頂。道中は本当にきつかった。きつすぎてきつすぎて、もう一生登りたくないと思うかと思いきや、山頂での達成感は何事にも変えがたいほどの感動を覚えることができた。
それは、景色がいいからでもなく、山頂で食べる美味しいご飯でもなく、登り切ることができたことに感動した。普段からトレーニングをしていれば、なんてことない登山だったのかもしれない。いつもの体力で、問題なく登ることができるような。
しかし、今回は違った。間違いなく、自分の限界を超えての挑戦だった。体力も、気力も、精神力も、技術も経験も全て詰め込んだ登山になった。もちろん、難易度や距離、持っているザックの重さなど条件はいくらでも違うので、一概には比較することはできないが、間違いなく、自分の限界と闘った結果の登頂になった。
たくさんの人が行き交い、サクサク登ることができる人、ゆっくり登る人ペースや山にかける思いも様々だった。1日10時間以上、14キロの荷物を抱えながら歩ききった。歩く道中はたくさんのことに思いを馳せることができた。
- 自分のペースを貫くこと
- 何を言われても、進み続ければ目的地にたどり着けること
- 目先の速さではなく、トータルで目的を達成すること
- ごはんはうまいこと
- 仲間の存在は尊いこと
- 待ってくれている人がいる嬉しさ
- うさぎとカメは現実でもありえる
- 山の達成感は何事にも変えがたい
- 自分は何でも達成できる自信
どんなに遅くても、時間がかかっても、自分のペースだけはずらしてはいけない。自分が達成するべき事を念頭に置いて、どんなことがあっても同じペースで歩み続ける。一時的にペースをあげたとしても、あとが続かなくなってしまっては意味がなくなってしまうので、最後まで走り抜ける力を温存しながら進んでいく。
仲間の存在は尊い。どんなに時間がかかっても、待ってくれる。何時間も自分のことを信じて待ってくれる存在が尊かった。笑顔で迎えてくれる存在を持てたことを幸せに思う。
待ってくれる人がいる。突如山に行ってくるといって、笑顔で送り出してくれて、状況を楽しみにしてくれて、たくさん話を聞いてくれる存在。世界で一番の「おかえり」をいってくれる。その笑顔だけで、生きててよかったと心から思うことができる。本当に生きて帰ってくることができてよかった。
たくさんの状況が重なって今回の槍ヶ岳・蝶ヶ岳縦走を達成することができた。きつすぎるくらいに苦しい思いもしたけど、苦しいなかで自分自身と向き合って、困難を乗り越えながら、新しい道を見つけていく一連の過程が人生と重なる部分があり、登山ほど魅力的なスポーツはないと思えるくらいに、素敵な体験をすることができた。
パソコンや、インターネットなど情報が普及していく中で、携帯も繋がらず、自らの体験のみでわかる世界を教えてくれて、いやでも自分自身と向き合う時間を作ることができ、登り終わった時の感動は何回経験しても素晴らしいものだと思う。
自分の人生に迷った時や、どん底にいるときにこそ、大自然を感じ、自分のちっぽけな存在を知ることによって何もかもがいい意味でどうでも良くなる。綺麗な景色をみて、美味しいご飯を食べて、素敵な仲間と語り合って、大切な存在が改めて大切であると気づいて、体調もよくなって。いいことづくしの山登りでした。
全てのしがらみを取っ払って、自分の思い描くままに世界は進んでいく。それに気づくことは長い道のりになるかもしれない。だけど、必ず見つかるから。あなたにとっての正解は他の誰にも理解はできないかもしれないけれど、あなたはあなただけの正解を見つければそれでいい。早く見つかってる人が偉いわけでもすごいわけでもない。見つからない時間こそが大切だって思える日がきっとやってくるから。
あなたが一番大切にしているものは何ですか?